書評「プライベート・バンカー」(清武英利著)

シンガポールを舞台にしたプライベートバンクを取り巻くバンカーと富裕層を描いたノンフィクション作品である。

主人公の野村證券三井住友銀行出身の杉山やその上司である桜井や梅田を中心とした外資ならではの、社内であろうと成果のために他人の顧客を奪い合う醜い人間模様や、シンガポールでの勤務先であるバンクオブシンガポール(BOS)、イタリアのUBIでの様々な出来事、更には顧客である富裕層ならではの悩みなども凡人では想像しがたいものなどを巧みに描きだしている。

描かれている人物の知名度などはわからず、当時の取り巻く環境などは理解が進みにくいが、一般的にプライベートバンクの内情にまで踏み込んで描かれており、普通ではわからないことまでが明らかにもなっている。

筆者はかの清武英利であるが、元新聞記者として踏み込んだ取材から得た情報をもとにわかりやすい文章で書かれているため、全ての読者にとって一読の価値はある。

プライベートバンカー カネ守りと新富裕層

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